ガチで母親に怒られた気が付いた年賀状のマナー

あれは小学生の頃でした。
友達のあいだで年賀状を出し合うことが流行っていたのです。
年末になり、わたしは仲の良い友達あてに5人分くらいの年賀状の製作に取り掛かりました。
宛先、宛名は下手な字ですが、なんとか書けます。
しかし、裏面に書く内容が決まりません。
例文を参考にしたり、面白い絵を考えてみたりと、いろいろなことを考えました。

 

散々悩んだ挙句に、わたしは絵文字を採用することにしました。
「おめでとう」の「お」が尻尾で、「め」が目ん玉のあれです。
下手な絵だったので、まるで暗号のようになってしまいました。
とりあえず、四人分はこれで通しました。
残りは最後の一枚です。

 

これは友達と言っても、ちょっと気になる女の子です。
あまり恥をかきたくはありません。
そこで悩んだわたしは何も書かないことにしました。
今考えると完全に暴挙です。
そのかわり、きれいなイルカの写真をプリントしてもらったのです。
親に頼んで、パソコンで印刷してもらいました。
プールの中で泳ぐ一匹のイルカの写真です。
薄いブルーの水の中を泳いでいます。
年賀状だったものは、まるで暑中見舞いのようなデザインになってしまいました。

 

それから年が明けると、みんなの年賀状がぞくぞくと届きました。
みんなキレイに書けています。
とても嬉しかったことを覚えています。

 

楽しかった冬休みが明けて、学校がはじまりました。
わたしは友達に年賀状のお礼を言います。
みんなからは変な年賀状だったと言われてしまいました。
変な絵文字だけを書いたのだから当然です。

 

そして、気になる女の子からは
「せめて文字くらいは書こうね」と叱られてしまいました。
これはちょっとショックでした。
その子に喜んで貰いたくて厳選したイルカの写真だったからです。

 

でもその言葉でわたしは学びました。
下手な文章でも絵でもいいから、自分で書くことに意味があるのです。